疲れている人必見!漢方の王様、高麗人参/オタネニンジンの効果と効能
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疲れている人必見!漢方の王様、高麗人参/オタネニンジンの効果と効能

高麗人参は、多くのサプリメントやエナジードリンク、「薬用養命酒」にも使用されている、滋養強壮に優れたことで有名な生薬です。
和名ではオタネニンジン(御種人参)と呼ばれています。しかし、「人参」といっても野菜の人参とは別物です。

〔目次〕
高麗人参の学名は「万能薬」!?
高麗人参の成分とその効果・効能とは?
高麗人参を摂取する際の注意点
漢方だけじゃない高麗人参の食べ方・飲み方
金と同等に扱われていた!高麗人参の歴史
手間暇かけて育てる高麗人参

高麗人参の学名は「万能薬」!?

野菜の人参はセリ科の植物ですが、高麗人参はウコギ科の多年草。学名「Panax ginseng(パナクス ジンセング)」の「Panax」は、ギリシャ語で「万能薬」を意味する単語です。

原産は中国や朝鮮半島で、「高麗人参」や「朝鮮人参」と呼ばれるのは、伝来してきた場所にちなんでのこと。生薬として使われるのは主に根で、表面も根幹の中も淡黄褐色をしており、太い根幹から細いひげ根がたくさん出ているのが特徴です。

〔朝鮮人参〕
分類(科・属名)....ウコギ科トチバニンジン属の多年草
原産地....中国・朝鮮半島
使用部分....根
主な作用....疲労回復、滋養強壮、病中病後の体力回復、免疫機能の活性化、アンチエイジングなど幅広い効能をもつ

高麗人参の成分とその効果・効能とは?

高麗人参の有効成分の代表は「サポニン」です。サポニンはさまざまな植物の根、葉、茎などに含まれていますが、効果は植物の種類によって異なります。
高麗人参に含まれるサポニンは「ギンセノシド」と呼ばれる種類で、新陳代謝や抗酸化作用、免疫力や抵抗力など高めるといわれています。

他にもカルシウムや鉄分、マグネシウム、カリウム、亜鉛、アミノ酸、ビタミンB群など、なんと100種類以上もの有効成分をもつといわれる高麗人参。これらが体内で補完し合い、大きな健康維持効果を生むと期待されています。

こうした効果が特に期待できるのが、病気というわけでもないのに元気が出ない人や、なんとなくスッキリしないという人。食欲がない、疲れが取れない、病み上がりで早く体力を回復したい、朝なかなか起きられないという人が体調を整えるのにもおすすめです。

また、最近は健康や美容の維持にも良いとされ、体調に問題のない人や若い世代の利用者も増えています。

高麗人参を摂取する際の注意点

副作用は少ないとされていますが,過剰に摂取した場合や体質によっては、睡眠障害や食欲不振、動悸、発熱,ほてりやめまいなどの症状が出ることもあるようです。

また、血糖値を下げる効果があるため、低血糖の人や糖尿病で血糖値を下げる薬を服用して いる方は使用を避けた方が良いでしょう。

高麗人参は低血圧の人には良いとされていますが、逆に高血圧の人には向かないという説があります。
妊娠中や授乳中の人にも良くない影響を及ぼす可能性があるので、使用は避けた方が良いでしょう。
薬を服用中の人は、医師と相談した上で利用を決めることをおすすめします。

漢方だけじゃない!高麗人参の食べ方・飲み方

参鶏湯(サムゲタン)

高麗人参は幅広い効能をもつことから「漢方の王様」と呼ばれ、人参湯(ニンジントウ)、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)、十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)、補中益気湯(ホチュウエッキトウ)など多くの漢方薬に配合されています。

その他、お茶、お酒、抽出液、サプリなど、さまざまなタイプに加工され、生活シーンや好みに合わせて利用されています。

韓国では家庭料理で使用することも多く、鶏に高麗人参やもち米などを詰めて煮込む「参鶏湯(サムゲタン)」を食べれば病気知らずといわれています。

金と同等に扱われていた!高麗人参の歴史

高麗人参は古くから不老長寿の薬として重宝され、秦の始皇帝も愛用していたといわれています。しかし、元々野生で数が少ないことから、秦の時代には「金」と同等に扱われるほど希少価値が高いものでした。

日本には奈良時代に伝わっていたようですが、貴重な薬草であったため使用できるのは貴族に限られていました。

江戸時代になると幕府が高麗人参の輸入を始め、庶民の間にも広がりますが、その人気から供給不足になり、将軍徳川吉宗は各藩に高麗人参の種子を分け与えて栽培を奨励しました。

そのため、高麗人参は将軍より賜った種で育てた人参ということで、オタネニンジン(御種人参)と呼ばれるようになったのです。

手間暇かけて育てる高麗人参

高麗人参の栽培イラスト

栽培が難しい上、手間暇かけてもほんの少しずつしか育たない高麗人参。

栽培年数とともに有効成分の含有量も増えるため、栽培年数によって「1年根」~「6年根」の6つに分類されます。3年根以下は薬効が十分でないため収穫されず、市場に出回るのは主に4~6年根です。

しかも、土壌の栄養を残らず吸い上げるため、収穫後の畑は向こう20年使用できません。

また、加工法も「水参(すいさん)」「白参(はくさん)」「紅参(べにさん)」の3つがあります。

水参(すいさん)は畑から掘り起こした生の状態。
白参(はくさん)は水参を乾燥させたもの。
紅参(べにさん)は水参を蒸気で蒸した後に自然乾燥させて加工したもので、韓国では「ホンサム」、日本では「こうじん」、「あかにんじん」などと呼ばれることもあります。

紅参は健康成分の含有量が大幅に増えるため、貴重な上級品として人気です。ただし、加工に時間と手間がかかるため、市場に出回るのはわずか。つまり「6年根を使用した紅参」は、希少性においても薬効においても、最も価値あるものとされているのです。

日本における高麗人参の栽培は、主に長野県や福島県、島根県などで行われています。

高麗人参の苗はインターネットなどでも購入できますが、直射日光と高温多湿を嫌うため、日本での栽培は非常に困難といわれています。

漢方に使用される生薬の中では最も高価で、盗難防止のため畑に鍵をかけることもあるようです。

この方にお話を伺いました

養命酒製造株式会社 商品開発センター 丸山 徹也 (まるやま てつや)

丸山 徹也

1958年長野県生まれ。1981年静岡薬科大学薬学部卒業後、養命酒製造株式会社入社。中央研究所研究部長、商品開発センター長を歴任。薬剤師。

※この記事の情報は全て、『養命酒だより2020年春号(養命酒製造株式会社)』より参照しています。

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